SpO₂/FiO₂ (S/F) Ratio
特に急性呼吸不全の患者において、肺機能を評価します。
作成者説明
動脈血ガス(ABG)分析が実施不能または利用できない場合の、迅速かつ非侵襲的な評価です。
PaO₂/FiO₂(P/F)比の非侵襲的な代替指標として、SpO₂/FiO₂(S/F)比を算出します。
この関係は、一般にSpO₂が97%以下の場合に最も信頼性が高いと考えられています。これは、それを超えるとオキシヘモグロビン解離曲線が平坦化するためです。
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はじめに
S/F比計算ツールは、パルスオキシメーターの測定値と投与されている酸素のみを用い、動脈血ガスを必要とせずに患者の酸素化の程度を推定します。これは、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)および急性肺傷害の診断と重症度分類に用いられる標準的な酸素化指標であるPaO₂/FiO₂(P/F)比の非侵襲的な代替指標となります。
使用される場面
この比は、動脈血ガスをすぐに利用できない資源が限られた環境で特に有用です。また、小児やICU外の患者など、繰り返しの動脈血採取が現実的でない患者にも適しています。パルスオキシメトリーは常時作動しているため、継続的な推移の把握が可能です。関連するスコアにも用いられており、たとえばROX指数では、S/F比を呼吸数で除して、高流量鼻カニュラ酸素療法が不成功に終わるかどうかの予測に役立てます。
計算方法
計算は単純です:
S/F比 = (SpO2 / FiO2) × 100
本ツールには2つの入力値が必要です。SpO₂はパルスオキシメトリーによる酸素飽和度で、パーセントで入力します。FiO₂は吸入酸素濃度(分画)で、室内気では0.21、人工呼吸器、高流量デバイス、またはマスク使用時には設定値となります。たとえば、SpO₂が92%、FiO₂が0.40の患者のS/F比は、92 ÷ 0.40 = 230となります。
多くの計算ツールでは、結果を推定P/F比にも変換します。最も広く引用されている変換式はRiceら(2007)によるもので、ARDS患者においてほぼ直線的な関係が認められました: S/F ≈ 64 + 0.84 × P/F。
解釈とガイダンス
比が低いほど酸素化は不良であることを意味します。S/F比は、一部のARDS定義に正式に採用されています。
成人における解釈の参考文献(Rice, 2007)。
S/F比315はP/F比300にほぼ相当します。
S/F比235はP/F比200と相関します。
パルスオキシメトリーへの影響により精度に影響を及ぼしうる因子には、メトヘモグロビン血症、カルボキシヘモグロビン血症、末梢循環不良、皮膚色素沈着、マニキュア、体動アーチファクトがあります。
ARDSにおける使用上の留意点
S/F比は、ARDSの診断および重症度分類に用いられる複数の基準のうちの一つにすぎません。ARDSの「グローバル定義」(Matthay et al., 2024)を参照してください。
ARDSの各カテゴリーにおけるS/F比の閾値。
カテゴリー | S/F比の基準* |
非挿管ARDS | HFNC(流量≥30 L/min)、またはNIV/CPAP(呼気終末圧≥5 cm H2O)で≤315 |
挿管ARDS | 軽症: >235 かつ ≤315 中等症: >148 かつ ≤235 重症: ≤148 |
資源が限られた環境向けの修正定義 | ≤315** |
*SpO2が≤97%の場合
**資源が限られた環境では、診断に呼気終末陽圧も酸素の最小流量も必須ではありません。
限界
最も重要な注意点は、S/F比はSpO₂が97%以下の場合にのみ信頼できるということです。それを超えるとオキシヘモグロビン解離曲線が平坦化するため、PaO₂が大きく変化してもSpO₂はほとんど変化しません。臨床医は、算出前に飽和度が97%以下になるまでFiO₂を下げることがよくあります。
その他の限界として以下が挙げられます:
オキシメーターの測定値の不正確さ: 末梢循環不良、体動、一酸化炭素中毒、メトヘモグロビン血症、および皮膚色素沈着が濃い場合には測定値がずれることがあります。皮膚色素沈着が濃い場合、オキシメーターは飽和度を過大評価する傾向があり、低酸素血症を覆い隠す可能性があります。
FiO₂推定の不正確さ: 鼻カニュラなどの低流量デバイスでは、実際に供給されるFiO₂はあくまで推定値であり、一般に約21%に流量1リットルあたり3〜4%を加えた値で近似されるため、誤差が生じます。
血液ガス分析の完全な代替ではないこと: P/F比の近似値であり、CO₂や酸塩基状態に関する情報は得られません。
すべての質問と考えられる結果
測定値タイトルは非表示です
SpO₂
A number between 1 and 100 (whole numbers), in %.
FiO₂
A number between 21 and 100 (whole numbers), in %.
考えられる結果
S/F比
ガイダンス
成人における解釈の参考文献(Rice, 2007)。
S/F比315は、P/F比300にほぼ相当します。
S/F比235は、P/F比200と相関します。
パルスオキシメトリーへの影響により精度に影響を及ぼす可能性のある因子には、メトヘモグロビン血症、一酸化炭素ヘモグロビン血症、末梢循環不良、皮膚色素沈着、マニキュア、体動アーチファクトなどがあります。
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)における使用上の留意点
S/F比は、ARDSの診断および重症度分類に用いられる複数の基準の一つにすぎません。ARDSの「グローバル定義」(Matthay et al., 2024)を参照してください。
ARDSの各カテゴリーにおけるS/F比の閾値。
カテゴリー | S/F比の基準* |
非挿管ARDS | 流量≥30 L/minのHFNC、または呼気終末圧≥5 cm H2OのNIV/CPAP使用下で≤315 |
挿管ARDS | 軽症:>235かつ≤315 中等症:>148かつ≤235 重症:≤148 |
医療資源が限られた環境向けの修正定義 | ≤315** |
*SpO2が≤97%の場合
**医療資源が限られた環境では、診断に呼気終末陽圧も最小酸素流量も必須ではありません。
引用
Rice TW, Wheeler AP, Bernard GR, Hayden DL, Schoenfeld DA, Ware LB; National Institutes of Health, National Heart, Lung, and Blood Institute ARDS Network. Comparison of the SpO2/FIO2 ratio and the PaO2/FIO2 ratio in patients with acute lung injury or ARDS. Chest. 2007 Aug;132(2):410-7.
文献
Rice TW, Wheeler AP, Bernard GR, Hayden DL, Schoenfeld DA, Ware LB; National Institutes of Health, National Heart, Lung, and Blood Institute ARDS Network. Comparison of the SpO2/FIO2 ratio and the PaO2/FIO2 ratio in patients with acute lung injury or ARDS. Chest. 2007 Aug;132(2):410-7.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17573487/Pandharipande PP, Shintani AK, Hagerman HE, St Jacques PJ, Rice TW, Sanders NW, Ware LB, Bernard GR, Ely EW. Derivation and validation of Spo2/Fio2 ratio to impute for Pao2/Fio2 ratio in the respiratory component of the Sequential Organ Failure Assessment score. Crit Care Med. 2009 Apr;37(4):1317-21.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19242333/Bilan N, Dastranji A, Ghalehgolab Behbahani A. Comparison of the spo2/fio2 ratio and the pao2/fio2 ratio in patients with acute lung injury or acute respiratory distress syndrome. J Cardiovasc Thorac Res. 2015;7(1):28-31.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25859313/Bashar FR, Vahedian-Azimi A, Farzanegan B, Goharani R, Shojaei S, Hatamian S, Mosavinasab SMM, Khoshfetrat M, Khatir MAK, Tomdio A, Miller AC; MORZAK Collaborative. Comparison of non-invasive to invasive oxygenation ratios for diagnosing acute respiratory distress syndrome following coronary artery bypass graft surgery: a prospective derivation-validation cohort study. J Cardiothorac Surg. 2018 Nov 27;13(1):123.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30482210/Shimizu M, Hashimoto S. Peripheral oxygen saturation to inspiratory oxygen fraction ratio-based identification of critically ill coronavirus disease patients for early therapeutic interventions. J Anesth. 2021 Dec;35(6):827-836.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34392404/